エルゴノミクスマウスはどのように設計される?INFTYLAB M Mouseの科学に迫る

In this article
  • 実際の使い方から始める
  • 理想的な条件ではなく、実際の作業をテスト
  • 試行錯誤を重ねたデザインの改良
  • ラボでの研究から、毎日の快適性へ
エルゴノミクスマウスはどのように設計される?INFTYLAB M Mouseの科学に迫る
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マウスを数時間使った後、次のようなことを感じたことはありませんか?

  • 手首がこわばる
  • 前腕に鈍い痛みを感じる
  • 長時間使った後、指を曲げると痛む

こうした不快感は珍しくなく、多くの人はそのまま付き合っています。INFTYLABでは、その原因と、より優れた設計によって改善できるかを知りたいと考えました。

この記事では、約2年にわたる研究、計測、改良によって、手により自然にフィットするINFTYLAB M Mouseがどのように設計されたのか、ラボでの取り組みをご紹介します

実際の使い方から始める

多くのマウスは、外観や機能から設計が始まります。私たちは別のところから始めました。人々が実際にマウスをどのように使っているかを観察し、疲労がどこから始まるのかを理解することから始めたのです。

設計に着手する前に、実際の作業環境で人々がマウスを使う様子を観察し、記録しました。参加者には、表計算シートの整理、プレゼンテーションの作成、ウェブ閲覧、メール対応など、日常的なオフィス作業に取り組んでもらい、次の方法で行動を記録・分析しました。

• 同期した2台のカメラによる撮影

• 動作と行動の分析

• ユーザーインタビュー

エルゴノミクスマウスの使いやすさを検証するテストで、手の動きと画面上の操作を同時に記録する2台のカメラ撮影環境。
エルゴノミクスマウスの使いやすさを検証するテストで、手の動きと画面上の操作を同時に記録する2台のカメラ撮影環境。

アプリごとに操作内容は異なりましたが、すぐに共通する傾向が見えてきました。最も頻繁に行われていたのは、マウスを動かすことではなく、左クリック、クリックしたままの操作、スクロールでした。これらの操作は、ユーザーがマウスを操作していた時間の大部分を占め、次いでマウスを持ち上げて位置を戻す動作が続きました。

1回ごとの動作は些細なものに思えます。しかし、1日の中で何千回も繰り返されると、前腕の筋肉に継続的な負荷がかかり、徐々に疲労や不快感につながります。

日常の作業中に、左クリック、クリックしたままの操作、スクロールが最も頻繁で時間のかかるマウス操作であることを示すグラフ。
日常の作業中に、左クリック、クリックしたままの操作、スクロールが最も頻繁で時間のかかるマウス操作であることを示すグラフ。

理想的な条件ではなく、実際の作業をテスト

疲労は日常的な使用の中で蓄積するため、テストも日常の使い方を反映したものでなければなりませんでした。

そこで、次のような一般的なオフィス作業を再現する専用のテストソフトウェアを開発しました。

  • Excelでの大量のスクロール
  • Figmaでのズームとパン操作
  • 動画編集タイムラインの編集

速度や正確さだけに注目するのではなく、長時間の使用中に筋肉への負荷がどのように変化するかを把握したいと考えました。つまり、ユーザーが何をしているかだけでなく、筋肉がどれほど力を使っているかも測定したのです。

そのため、複数の測定方法を組み合わせました。

1. 動作と姿勢の分析

高速モーションキャプチャーと画像解析を使い、次のようなマウスとの細かな関わり方を観察しました。

  • マウス形状によって指が過度に曲がっていないか
  • 手首が安定し、支えられた位置を保っているか
  • 手のどの部分に追加の力が必要だったか

こうした観察から、デザインをさらに改善すべき箇所や、追加のサポートが必要な部分を特定できました。

人間工学マウスの研究中に、手の姿勢とマウスの動きを記録するモーションキャプチャーシステム。
人間工学マウスの研究中に、手の姿勢とマウスの動きを記録するモーションキャプチャーシステム。

2. 筋電図(EMG)

続いて、前腕の筋肉の活動を測定し、次の点を確認しました。

  • どのデザインが筋肉に持続的な緊張を生じさせるか
  • どの動作が疲労の蓄積を早めるか
  • どの形状なら筋肉がより早くリラックスできるか

これにより、筋肉への負荷を基準に各デザインを比較できました。

エルゴノミクスマウスのテスト中に前腕の筋肉活動を測定し、筋肉への負荷を比較するために使用した筋電図(EMG)記録。
エルゴノミクスマウスのテスト中に前腕の筋肉活動を測定し、筋肉への負荷を比較するために使用した筋電図(EMG)記録。

3. ユーザー体験の検証

最後に、客観的な計測結果とユーザー自身の体験を比較し、快適性、使いやすさ、長時間使用時の疲労の現れ方についてフィードバックを記録しました。

客観的なデータと主観的なフィードバックを照合することで、それぞれのデザインをより深く理解できました。これにより、すべての設計判断が、実際のマウスの使い心地を反映していることを確認しました。

実際のデスク環境でエルゴノミクスマウスを試し、快適性、使いやすさ、長期的な使用感を評価するユーザーテスト。
実際のデスク環境でエルゴノミクスマウスを試し、快適性、使いやすさ、長期的な使用感を評価するユーザーテスト。

試行錯誤を重ねたデザインの改良

開発期間中、5つの主要なデザイン段階にわたり、100種類以上のマウス試作機を設計・テストしました。各バージョンは、前回のテストで得られた知見をもとに改良されています。曲線や輪郭を洗練させたものもあれば、重量配分、バランス、表面素材や摩擦を調整したものもあります。

この反復的なプロセスを通じて、いくつかの基本的な設計原則が徐々に形になりました。

• 自然なグリップ:ユーザーが意識して姿勢を調整しなくても、手を自然に置ける形状。

• 最適なボタン荷重:過度な力を必要とせず、反応よくクリックでき、使用中も静かな操作感。

• 安定した表面仕上げ:長時間の使用時や手のひらに汗をかいたときでも、しっかり握れる表面。

• バランスの取れた手のサポート:手首を外側または内側へ過度にひねることによる負担を軽減。

反復的なデザインとユーザー評価を通じて開発・テストされた、複数のエルゴノミクスマウス試作機。
反復的なデザインとユーザー評価を通じて開発・テストされた、複数のエルゴノミクスマウス試作機。

ラボでの研究から、毎日の快適性へ

BenQ Innovative Human Workspace Labでは、eスポーツ研究を通じて培った科学的な知見を、日常の仕事に役立つ人間工学ソリューションへと応用しています。継続的なテストとユーザーからのフィードバックを通じて、すべてのデザインを絶えず磨き上げています。

市場には数え切れないほどのマウスがあります。しかし、本当に優れたマウスとは、ほとんど意識せずに使えるものだと私たちは考えています。手に自然に寄り添い、自然なリズムに合わせて動き、余計な負担をかけないマウスです。

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